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楕円窓のある家

楕円窓の家:
曲線の天井・斜め壁・楕円窓

外観は、粘土で形づくったようなフォルム。室内は、大きな岩の塊をノミで削った洞窟のようなイメージ。この建物には、絵画の手法がいくつか取り入れられています。ひとつには、セザンヌの用いた"遠近法"があります。リビングからデッキの扉(写真奥)に視線を移していくと、両壁を徐々に狭めているため視点が1点だけに留まらず、空間に動きが感じられます。もうひとつが、ゴヤの使った"陰影"。1階玄関を最小限の光のみで薄暗くし、一段一段階段を上っていくにつれ、やわらかな光が見えてくるという演出。これらは日常に変化を持たすだけではなく、狭い空間を広く感じさせるのに役だっています。

このように造形的な要素が多く盛り込まれた建物ですが、機能面も考えています。日照を考えリビングを2階に。デッキを南側に設けたことで、建物の狭さをカバーするために意図したポイントは "放射状と逆遠近法"です。1階は玄関から各居室を放射状に配置し、無駄な空間をつくらないようにしました。2階はリビングを中心にデッキ、ダイニング、さらに吹き抜けへと視線が広がるようプランニング。食事をするときには、調理後のキッチンの "チラカッタ" 風景が視界に入らないように、配慮してあります。しかも作業の動線は、楽しくスムースに。

曲線の壁と高低差のある天井のリビングは、中世の教会を思わせるクラシックな雰囲気に。広々としたデッキは一変して、太陽が感じられる明るい空間。こうした空間づくりによって、いつまでも新鮮さが持続する“飽きない家”となっています。

楕円窓のある家
ファサード2
 
イメージスケッチ 
ファサード1
 
胸を張るファサード  
造形的な天井 
階段のある暖炉